Last Updated on 2024年6月25日 by らくろぐ
数学を違った視点から解説した永野裕之さん著作の「とてつもない数学」について、紹介します。
Contents
どういった内容なのか
数学の「とてつもない」部分を以下の角度から深堀して展開する数学の解説本です。
- 数式・・数ですべての世界を記述する
- 天才数学者たち・・偉人達の抽象思考の極北に挑む
- 芸術性・・・数学がもたらす「美」
- 便利さ・・・数学が様々な問題を解決する
- 影響力・・・世界史の発展は数学とともに
- 計算・・・九九を覚える日本は稀?
大まかなあらすじと面白かったっポイント
数学理論的な本は今までもいくつか読んだことがありますが、概念的な説明で挫折することがほとんどでした。
でもこの本は全然違いました。
冒頭から、大きな数を扱ってそして予想するというプロセスを見せてくれました。
私はその概念の扱い方に衝撃をうけ、この本に興味をもちました。
各章ごとに数式、人、数(便利さ)、影響力、計算と数学の違った視点から見せてくれるその表現方法を面白いと感じました。
とてつもない数式・・数ですべての世界を記述する
この章では素数も、1兆という大きな数も、みな数式のようなルールで表現できることを教えてくれました。素数は無限に存在しますが、それを見つける難しさがあるということも驚きでした。
とてつもない天才数学者たち・・偉人達の抽象思考の極北に挑む
この章では、様々な歴史上の天才数学(物理)者たちが登場します。「ピタゴラス」や「ノイマン」や「アインシュタイン」、「ニュートン」。
名前や発見・定義した理論などは知っていましたが、それがどういう背景で、どういう風にかかわっているのかなど、全く知らなかった関係性を知ることができました。
考え方を整理したり、記号化したことで、その後の数百年の数学という学問を一気に進化させた人がいるとは、いやはや驚きでした。
とてつもない芸術性・・・数学がもたらす「美」
この章では図形が生み出す芸術について説明しています。
タイルに敷き詰められた模様が実は数学的な意味を持つ図形の繰り返しだったり、乗り物や建物に使われている部分が幾何学的に意味のあるものだったり。
規則性にのっとったタイルの模様を新たに発見したが数学とかかわりない主婦だったというエピソードからも、芸術性の中に隠れた数学を垣間見たような気がします。
とてつもない便利さ・・・数学が様々な問題を解決する
この章では様々な問題を解いていきます。といっても受験問題ではなく、大まかな予想や、大きな数から1対1対応させる方法など、日常で使えそうな事柄を数学の理論で紐解いていきます。
こういう観点から数学の理論を使って説明することは、数学を身近に思える一つの方法になるのではないか、と思いました。
とてつもない影響力・・・世界史の発展は数学とともに
この章では大きな数、指数関数や対数にまつわるエピソードが紹介されています。特に、これまで自分の業務でも扱うことが多かった対数(e)が、どういう意味があって、なんでこの数(ネイピア数)になっているのかの、くだりはこれまで何となくモヤモヤしながら使っていた私にとって、目からウロコでした。
母数が大きいものを予想する方法、概念もとても興味深く感じました。よくある、経済効果の試算などはこういう考え方から出されているのかと納得できました。
もちろん試算方法はそれぞれ異なるはずなので、一概にこの本で紹介された方法ですべて行われているわけではありませんが。
とてつもない計算・・・九九を覚える日本は稀?
日本という国は算数や数学教育が進んでいると自負していましたが、九九を暗記させるのは日本だけだったり、計算機を使わせない授業も日本だけだったり。世界の教育とかけ離れていることをこの本で知り、とっても驚きました。
作者の永野裕之さんてどんな人?
さて、この本の作者の永野裕之さんてどんな人なのでしょうか?
東大理学部地球惑星物理学科卒業後、同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)へ進まれました。
その後、ウィーン国立音大へ留学され指揮を学ばれていたようです。
なるほど、そうか、音楽に関する知識があり、ウィーンで指揮をされてるから音楽の調べや音色に囲まれている人なんですね。
だから文章がとてもリズミカルで読みやすく、すーっと頭に入っていくのだと感じました。難しい内容が続く本著ですが、文章としては易しく理解しやすいと理解しました。
この本をお勧めしたい人
数学の知識がある人はもちろん、人物学や世界史に興味がある人も、時系列的な数学発展歴史が記されているので楽しめると思います。
あわせて読みたい本
アマゾンレビューにて、「とてつもない数学」と一緒に購入されているのはい以下の本が多いようです。
私もまだ読んでいないですが、読み終わったらぜひ紹介したいと思います
とてつもない数学 まとめ
永野裕之さん著の「とてつもない数学」について紹介しました。この本は数学の専門でありながら指揮者としても活動されている著者が、わかりやすく、一風変わった視点から数学の公式、偉人達、数の扱い方などを説明してくれています。
数式にまつわる偉人たちの紹介は、関連する人物たちとのエピソードを交え、身近に感じられるように説明してくれています
また、数式や、ビックデータを扱うような場合の概念の説明には、わかりやすい例や、図解をいれることで、数学のなじみのない人にも受け入れやすくなっているのではないでしょうか。
複素数や、対数など、なじみはあるけど、裏にある本質的な部分を理解できていなかった自分にとって、数学の知識を一歩すすめてくれたように感じます。
もしこの記事を読んで数学に興味を持ってくださる方がいたら、是非とも手に取っていただきたい一冊です。
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